よく使われるメールアドレスの一つに「キャリアメール」があります。通信事業者が提供するメールアドレスで、スマホを購入したときからすぐに使えるのが特徴です。手軽に使えるアドレスのため、長く使い続けている方も多いでしょう。
しかし、キャリアよりも料金の安い格安SIMの登場で、通信会社を乗り換える人も増えてきました。通信会社を変える場合、メールアドレスの変更がネックになります。その対策として注目されているのが、キャリアメールの「持ち運び」です。
今回は、キャリアメールを引継ぐ「持ち運び」サービスについて解説します。通信会社の乗り換えをしたいが、キャリアメールも引き続き使いたい方はぜひ参考にしてください。
目次
キャリアメールを引継げる「持ち運び」サービスの概要
キャリアメールの持ち運びサービスとは、大手キャリアなどが提供しているメールアドレスの引継ぎサービスです。対象のキャリアから他社へと乗り換えても、既存のアドレスを使えるため、新アドレスの作成や、アドレス変更の周知をする手間がかかりません。
現在持ち運びサービスを提供している会社は、以下の5社です。
メール持ち運びサービス提供5社
- ドコモ
- au
- ソフトバンク
- ワイモバイル
- 楽天モバイル
今回は大手3社の持ち運びサービスの詳細を紹介します。
ドコモ
ドコモの持ち運びサービスの概要は以下のとおりです。
サービス名称 |
ドコモメール持ち運び |
---|---|
料金 |
月額330円 |
申込方法 |
回線の解約から31日以内にWebサイトまたは店頭で申し込む |
ドコモの持ち運びサービスは、月額330円で利用できます。回線の解約から31日以内に申し込みをすれば、引き続きキャリアメールを使えます。アドレスの引継ぎにはdアカウントが必要なため、回線を解約したからといってアカウントを削除してしまわないよう注意しましょう。
また、ahamoへ乗り換える場合は、プラン変更と同時の申し込みが必須です。同時に申し込まないと、メールアドレスが削除されてしまいます。ahamoのサイトで申し込めるため、忘れずに手続きをしましょう。
au
auの持ち運びサービスの概要は以下のとおりです。
サービス名称 |
auメール持ち運び |
---|---|
料金 |
月額330円 |
申込方法 |
回線の解約から31日以内にWebサイトで申し込む |
auの持ち運びサービスも月額330円で利用できます。回線の解約から31日以内に申し込みをして、キャリアメールを継続して利用しましょう。povo、UQ mobileへ乗り換える場合もサービスを使えます。
料金の支払いにはauかんたん決済を使います。UQ mobileやpovoに乗り換える場合は、クレジットカード支払い・通信料合算支払いのどちらでも支払い可能です。それ以外の通信会社に乗り換える場合はクレジットカード支払いのみ対応しているため、クレジットカードを用意しておきましょう。
ソフトバンク
ソフトバンクの持ち運びサービスの概要は以下のとおりです。
サービス名称 |
メールアドレス持ち運び |
---|---|
料金 |
月額330円または年額3,300円 |
申込方法 |
回線の解約から31日以内にMy Softbankから申し込む |
ソフトバンクの持ち運びサービスは、料金に特徴があります。月額料金は他社と変わりませんが、年額払いの料金は3,300円と月額料金を1年間払うよりも2ヵ月分お得です。料金負担を減らせるのは、他社にない利点です。
また、持ち運べるメールアドレスは、ソフトバンク・ワイモバイル・ボーダフォン・ウィルコムなどがあります。多くのアドレスが持ち運びの対象となっており、安心して乗り換えができます。
キャリアメールの引継ぎ方法
大手3社のキャリアメール引継ぎは、Webサイトでの申し込みが多いです。また、引継ぐ機種がiPhoneかAndroidかで設定方法が異なります。スマホに関する手続きをオンラインでしたことがない方は、やや複雑に感じるかもしれません。
ここでは、大手3社のキャリアメール引継ぎ方法をiPhone・Androidの機種別に紹介します。事前に引継ぎ手順を確認して、スムーズに手続きを進めましょう。
ドコモ
ドコモのキャリアメール引継ぎは、ドコモショップかMy docomoから行ないます。回線解約と同時に申し込む方法と、回線解約後に申し込む方法があります。電話番号の引継ぎとして、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)を利用して解約する場合は、回線解約後31日以内の手続きが必要です。電話番号を新しくする場合は、解約と同時に引継ぎを申し込みましょう。
Androidで引継ぐ場合は、以下の手順で行ないます。今回紹介するのは、「Gmail」から設定する方法です。
Androidで引継ぐ場合
- My docomoの「設定」→「メール設定」→「設定を確認・変更する」から、ドコモメールのIMAP用ユーザーIDとパスワードを確認する
- メール設定画面下部にある「IMAP専用ID・パスワードの確認」をタップし、IMAP用ユーザーIDとパスワードを発行し、サーバー情報を確認する
- 「Gmail」アプリを開き「別のアカウントを追加」でメールをセットアップする
- メールアドレス・パスワード・サーバー情報などを入力する
IMAP用ユーザーID・パスワード・サーバー情報の入力などやや複雑な操作が多いので、丁寧に確認しながら進めてください。
iPhoneで引継ぐ場合は、以下の手順で行ないます。
iPhoneで引継ぐ場合
- iPhoneドコモメール利用設定を行なう
- dアカウントでログインする
- 構成プロファイルをダウンロードする
- 「設定」アプリから構成プロファイルを反映させる
iPhoneで行なう場合は、少ない工程でメールを引継げます。メール利用設定をするページには「iPad ドコモメール利用設定」と表示されますが、iPhoneでも問題なく設定できるため、気にせず進めましょう。
au
auのキャリアメール引継ぎは、auマイページから行ないます。auはドコモと異なり、オンライン専用プラン「povo」へ乗り換える場合でも手続き方法は変わりません。一方、解約後31日以内の手続きはドコモと同様のため、早めに手続きを済ませましょう。
Androidで引継ぐ場合は、以下の手順で行ないます。今回紹介するのは、「Gmail」から設定する方法です。
Androidで引継ぐ場合
- auメール持ち運び申込画面の下部に表示される「IMAP対応アプリで利用する場合のメール設定情報」をタップする
- IMAP用サーバー情報、パスワードなどを確認する
- 「Gmail」アプリを開き「別のアカウントを追加」でメールをセットアップする
- メールアドレス・パスワード・サーバー情報などを入力する
ドコモ同様、IMAP用サーバー情報などが必要になるため、確認したら忘れないように紙に控えておくとよいでしょう。
iPhoneで引継ぐ場合は、以下の手順で行ないます。
iPhoneで引継ぐ場合
- auメール持ち運び申し込み完了画面に表示される「iPhone標準メールアプリ」をタップする
- 構成プロファイルをダウンロードする
- 「設定」アプリからプロファイルをインストールする
iPhoneは引継ぎが比較的簡単で、時間がかかりません。プロファイルをインストールしないと引継げないため、忘れずにインストールしてください。
また、一部機種ではauメールアプリを利用して引継ぐことも可能です。こちらはアプリを利用して簡単にメールの引継ぎができます。
ソフトバンク
ソフトバンクのキャリアメール引継ぎは、My Softbankから行ないます。ソフトバンクの提供するオンライン専用プラン「LINEMO」に乗り換える場合も、回線解約後にMy Softbankから手続きをしましょう。申込期限は他社同様解約後31日以内です。
Androidで引継ぐ場合は、以下の手順で行ないます。今回紹介するのは、「Gmail」から設定する方法です。
Androidで引継ぐ場合
- My SoftBankへログインしてメールアドレスとパスワードを確認する
- 「Gmail」アプリを開き「別のアカウントを追加」でメールをセットアップする
- メールアドレス・パスワードなどを入力する
- IMAPサーバー情報に「imap.softbank.jp」およびポート番号「993」、STMPサーバー情報に「smtp.softbank.jp」およびポート番号「465」を入力する
ソフトバンクでAndroidにキャリアメールを引継ぐ場合、My Softbankにサーバー情報が掲載されません。代わりに、上記の指定された文字列を入力する必要があります。セットアップ時に焦らないよう、こちらも確認しながら手続きをしてください。
iPhoneで引継ぐ場合は、以下の手順で行ないます。
iPhoneで引継ぐ場合
- My SoftBankへログインしてメールアドレスとパスワードを確認する
- 「設定」>「メール」>「アカウント」>「アカウントを追加」>「その他」から「メールアカウントを追加」を選択する
- 受信サーバー情報のホスト名に「imap.softbank.jp」、ユーザー名・パスワードにそれぞれ確認したメールアドレス・パスワードを入力する
- 送信サーバー情報のホスト名に「smtp.softbank.jp」、ユーザー名・パスワードにそれぞれ確認したメールアドレス・パスワードを入力する
ソフトバンクの場合、iPhoneでも自身でIMAP設定をする必要があります。他社と違い構成プロファイルをダウンロードする方法ではなく手続きが複雑なため、丁寧に確認しながら行ないましょう。
キャリアメールを引継ぐメリット
キャリアメールを引継ぐメリットは、以下の3つです。
メリット
- 他社に乗り換えがしやすくなる
- 大切なメールをずっと残しておける
- メールアドレス変更の連絡や手続きがいらない
他社に乗り換えがしやすくなる
キャリアメールを引継ぐことで、メールアドレスを新たに作る必要がありません。これまでは他社に乗り換えた場合、メールアドレスは削除され、二度と使えませんでした。そのため、他社への乗り換えがしづらく、同じキャリアを長年使わなければならない状況の方が多くいました。しかし、メールアドレスを引継げば、メールの不安がなくなるため、乗り換えがしやすくなります。これまで他社への乗り換えをためらっていた方でも安心して次に通信会社と契約できるでしょう。
おもな乗り換え先は、格安SIMが多いです。料金を抑えられるため、家計の負担を減らせます。格安SIMについては、こちらで詳しく紹介しています。格安SIMに乗り換えて通信費を安く済ませたい場合はぜひ参考にしてください。
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大切なメールをずっと残しておける
キャリアメールを引継げば、過去に届いたメールを引き続き保管できます。仕事に利用している場合は、取引先とメール記録や送信履歴などを確認できます。プライベートで利用している場合は、パスワードの記載されたメールやお気に入りのメルマガなどをいつでも閲覧可能です。
キャリアによっては、メールをクラウド上に保存できるサービスもあります。キャリアメールを引継げば、メール関連のサービスも引き続き受けられるため、回線を解約してもメールを保存できます。
なお、パソコンを持っている方は、クラウドや携帯端末からメールを移行可能です。パソコンであればスマホよりも長く使用するため、長期間メールの保管ができます。パソコンにメールを移した場合は、パソコンのデータをバックアップしておくと安心です。
メールアドレス変更の連絡や手続きがいらない
メールアドレスが引き続き使えれば、やり取りする相手や会員登録しているサービスに変更の旨を伝える必要がありません。
かつてはメールアドレスを変えた際に、多くの方が友人や家族に新しいメールアドレスの登録依頼をしていました。しかし、連絡先が増えるほど、メールアドレス変更のお知らせをするのは手間がかかってしまいます。特に普段からメールでのやり取りが多い方は、苦労した経験も多いでしょう。
メールアドレスを引継げば、そうした手間は一切かかりません。変わらずやり取りができるため、楽にメールを使い続けられます。
また、会員登録サービスに都度ログインしメールアドレス変更手続きをするのも大変です。なかにはパスワードがわからず、サービスのアカウント自体を再作成した経験をした方もいるでしょう。メールアドレスを引継げば、これまでどおりにサービスを受けられるため安心です。
キャリアメールを引継ぐ際の注意点
キャリアメールを引継ぐ際は、以下の3点に注意しましょう。
注意点
- ランニングコストがかかる
- 申し込みには期限がある
- 支払い方法が限られている
ランニングコストがかかる
キャリアメールを引き続き使うには、コストがかかってしまいます。ソフトバンクは年額3,300円、ドコモ・auは年額3,960円かかります。乗り換える格安SIMによっては、プラン料金よりもオプション料金のほうが高くなる場合もあるでしょう。キャリアメールが本当に必要か、メールの利用頻度に対する年間コストが割にあっているかどうか、再度確認しておくのがおすすめです。
メールの利用頻度が低い方やメールにコストをかけたくない方は、フリーメールや、メール以外のチャットツールの使用を検討してみましょう。フリーメールは、サービスのアカウントがあれば使えるものが多いため、比較的簡単に始められます。また、スマホ以外のデバイスからもアクセスできるため、パソコンやタブレットを持っている方にとっては使いやすいでしょう。
申し込みには期限がある
キャリアメールの引継ぎには、どの会社も申込期限を設けています。一般的には解約後31日以内に申し込む必要があります。期限に猶予はありますが、万が一申し込みを忘れてしまうとメールアドレスは二度と使えなくなるため、早めに手続きを済ませましょう。
なお、ドコモからahamoへ乗り換える場合のみ、回線解約と同時に申し込みをしなければなりません。この手続きを済ませずにahamoの乗り換えを終えてしまうと、メールアドレスを引継げなくなってしまいます。ドコモからahamoに乗り換える場合は必ず乗り換えと一緒にメールアドレス持ち運びの申し込みを行ないましょう。
支払い方法が限られている
キャリアのメールアドレス持ち運びサービスは、キャリアごとに支払い方法が異なります。支払い方法は複数の選択肢があるわけではないため、事前に確認しておくとよいでしょう。
大手3社ともクレジットカードに対応していますが、口座振替などには対応していません。ただしauでは、povo・UQ mobileに乗り換えた場合のみ通信料合算支払いが可能です。ドコモ・ソフトバンクのメールアドレスを引継ぐ方でクレジットカードを所有していない場合は、何らかのクレジットカードを作成しておかないと料金が支払えないため、注意しましょう。
支払い方法を一つにまとめられない場合もあるため、不便に感じる場合があります。通信費のみクレジットカード払いにしてしまうなど、支払いの工夫が必要です。
まとめ
キャリアメールを引継ぐ「持ち運び」サービスの概要・申込方法・注意点について解説しました。
キャリアメールは、初めて使うメールアドレスとして長年使ってきた方も多いでしょう。そのため、今まで使ってきたメールアドレスを新しくするには抵抗がある方もいるようです。キャリアメールの持ち運びサービスを使って、これまでどおりメールアドレスを使いながら格安SIMに乗り換え、通信費を安く済ませましょう。
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